いつかの怪奇録:第1話。一人旅にはお守り持参で。
暑い季節には、
怖いもの見たさの性分には、
こういうひんやりする話のほうが、
クーラー設定温度の分、電気代が助かるかもしれませんね。
そんなに怖くない話です(のつもり。私も怖いのは苦手)
が、夜中に見ている人はご注意を。
京都市内のあるホテルにまつわる話。
わたしには、基本、
あの世の方と直接会う機会は、ありません。
(つまり、見えない)
ただ気配は、わかるので、いやだなと思えば、
その場所や、物品からは離れるようにしていますが、
避けられないニアミスがあるのです。苦笑。
どうやらお持ち帰りしたのは、男女の……
旅から帰宅後に見た、恐ろしい夢の内容を、
語ります。想像できるでしょうか。
中肉中背のサラリーマンと、
白いワンピースの大人びた女性。
京都駅前の古いホテルの屋上に、
曇り空を背にして二人が立っているのを、
私は、
駅前のバスロータリーから見上げている感じです。
男の人のネクタイの色柄、
女の人の長い黒髪が肩までの長さ、
二人が手をつないでじっと、無表情に、
京都タワーのある大通りを見下ろしているのを、
全て鮮やかに覚えています。
やがて二人は、そのまま、
こちらに向かって飛び降りようとするのですが、
つないだ手が離れて、
男性だけが飛び降りたんです。
夢の中ですが、
「どん!」
と、
おなかに響く振動が。
大通りに並んで駐車中の、
タクシーか自家用車の天井に、
落ちた躯体がぶつかった音なのです。
うわ!っと、思いました。
女性に目が行きました。
彼女は、男性が下りた先を、
かがんでのぞき込み、
自ら、引き続いて飛び降りました。
白いワンピースが、はためいていました。
もうそれ以上、見せてほしくなかった。
だから無理やり、目を覚ましました、私。
面識のない男女二人を、
自宅までお持ち帰りしてしまったようなんです。
でも私が鈍感で、
実体の姿を見ないものだから、
そういう形でしか、
アピールできなかったのでは。
近所あるある、「何か」の集まる土地。
この話はもともと、
以下の話で四条河原町へ買い物ツアーに出かけるつもりだったんです。
自分旅行社企画「会社でたまるストレス発散!」
行先:京都市内のオープンしたホテル
客層:観光、女子会、シニア夫婦など。
たまに、外国人観光客・ビジネス出張客。
安価:一人で3500円。じゃらんで気軽に予約。
施設:大浴場は別の場所からの運び湯(大阪の温泉から)
朝食:焼き立てパン提供、おいしい。
部屋:きれい、枕選べる。快眠グッズあり。
アメニティ:女性向け標準装備。
目的:雑貨屋、ブティック、文房具と本のメガショップ、
買い物、おいしいスイーツ食べ放題の店めぐり。
京都市の中心部は温泉がないのが残念ですが、
京都市内なら、買い物しすぎても、
旦那に「車で取りに来て~」が可能なので。
ホテルの土地は京都市内のいわゆる、
「裏寺」(うらでら)と地元で呼んでいるあたりです。
寺町通といっても、
市役所近辺から新京極通の西側の寺町では、ありません。
四条河原町付近の、新京極まで行かないあたり、
(実際に歩けば、霊感のある人にはわかります)
ここは、
雑居ビルに占い師さんたちがたくさん店を出していたり、
平安京よりはるかに古い時代に創建された小さなお寺が、
ひしめいて、墓地まで管理していたり、
ま、そういうところです。
中学時代の同級生がそのあたりのお寺のお子さんで、
遊びに行った彼の部屋、窓を開ければ~
見事な墓地。鬼太郎の世界でしょ(笑)
だから、今回、
オープンしたてのホテルチェーンに泊まるから、
妙な「大丈夫でしょ」感があったのかなあ。
普通のホテルですよ、
きれいだし、お客さんも多いし。
その隣の、公園が、
通りがかりの私には、
「こんなところに公園なんて、あったっけ?」
「すごく……なんだか、空気が、暗いなあ」と、
快晴の昼間に思ったぐらいで。
忘れていたのです。
そのホテルの隣の公園、
私の子供時代は、フェンスで覆われた空き地だったこと。
そこは、中古ジーンズの店、
映画館、ほか、私の知っている数十年間だけでも、
いろいろな店が入れ代わり立ち代わり、
建てられてはつぶれる、
そんな土地でした。
「あまり良い土地ではなさそうね」
「何か住み着いているのかしらね」なんて、
近所の大人が話していたの、
ほんっとに、忘れてました。
ホテルは快適だったし、
焼き立てパン最高だったし、
大浴場ものんびりできました。
「お持ち帰り」事件は、
よくある話なのです。
当時、夕方に英語レッスンに来る生徒たちが、
「せんせい、教室の入り口に黒い人が座ってるー」
よくある話でした。
私は子供の勘が鋭いのは知っていましたが、
英語を教えるときには、
生徒の集中力をレッスンに集めたいので、
「あらそう?かまってあげる暇ないから、
他へ行ってくれって、言っておいてよ」
「わかったーいうとくわー」
とまあ、
生徒たちも適当なノリなので、
うちなんかについてきても、
我が家はみんな忙しくて、何のお構いもできないと
理解さえすれば、
「くろいひと」は、
モノの数日もすれば、 気配が消えてしまいます。
そういえばその後、変な夢は、見ていません。
よかった。
涼しくなりましたか?
~ここから追加リライト。
例の飛び降り自殺された男性のほうのニュースは、
最近、グーグルさんの検索でヒットしました。
すると女性のほうは、
男性を引っ張っていた可能性がある、
すでに亡くなっていた方かも。
まさかの実話でした~(記事書いている本人が怖くなってきた)