Talking:第1回「教える仕事」をしてみたい人へ。~どこかに「所属」することのメリット・デメリット3つ~
「教える仕事」は職人技。
雇用される立場で「所属」弟子入りしてみますか?
それとも「独立」開業しますか?
家庭教師派遣登録、フランチャイズ契約、その後に独立。
転職しながらも日中はダブルワークを続けながら、
放課後の時間帯は自宅教室で教えてきた、
元こども英会話講師の私から、
いろいろ考えているあなただけに教えます。
「所属」と「独立」のメリット、デメリット。
「所属」先に弟子入りするメリット、デメリット。
日々のストレス解消に世界中から来る観光客や留学生と交流する、
国際ボランティアを楽しんでいた、だけの私。
英語を「教わる側」でいるうちにTOEICのスコアが伸びて、
子供が生まれた後から勉強しても「何とかなるもんだな」
ハワイ旅行に行って現地で日本人が行かないコースに行くのも、
英語学習の手ごたえを感じておりました。
「所属」先に雇用されるメリット
⑴ 一定の研修期間があり、レッスン方法ノウハウが学べる。
フランチャイズでもそれぞれの企業タイプがあっても、
一定のクオリティラインがあって、
面接試験をクリアした講師候補生は必ず、
雇用された場所のノウハウを学ぶ必要があります。
一般論ですが、英語講師だけに限らないです。
一部のカリスマと呼ばれる方々を除いて、
いきなりオリジナルでマニュアル作成が出来るほど、
天才肌の人は少ないですよね。
仮に最初から資格も経験もすごい方がいて、
それならすぐに誰かに「教える仕事」ができるかというと、
そうではありません。
その人と同じ努力量で同じだけの勉強ができる生徒は、
まず存在しないからです。
英語学習業界は、
「簡単に身につく」「すぐ話せるようになる」
マニュアルを研究開発する傾向があります。
とくにキッズイングリッシュ。
文科省の学校教育準拠方針みたいなのが、
毎年刷新されますので、
小学校の外国語学習について親御さんの不安を招くことも。
塾や放課後スクールで教えるとなると、
義務教育からはかけ離れたハイレベルのレッスン内容であることが、
重要になります。
研修で最新情報を学べるということは、
講師候補生にとってはかなりのメリットです。
⑵ 「教える仕事」に専念できる(例外あり)
家庭教師派遣の登録時は、
無料お試しレッスンの日に会社の営業マンが同行してくれました。
彼ら営業職は、
レッスンの契約交渉を担当してくれるので、
保護者に対する契約書や請求関係の説明は、
先生をしながら講師がすることはないのです。
フランチャイズ契約となると、
各教室の先生が広告も契約もすべてこなし、
親御さんと契約書、重用説明事項の取り交わしを、
やはり先生方が直接することになります。
法律的なことはすべて「本部」「相談窓口」
モンスターペアレント対策は「苦情窓口」
が対応してくれます。
講師は、現場で生徒を教えることに専念できるよう、
ある意味では会社組織から守られています。
⑶ レッスン内容は自己作成の必要なし。
独立したときに一番苦労するのが、
生徒さんのレベル別の教材決定、
年間の学習計画、
毎回のレッスン内容構成を自分で考えることです。
次にソング、単語の発声練習、
短文の会話繰り返しなど、
基本的に何分で何をするか、
どうやれば生徒の記憶に残り定着するか。
専門的な研究所を持っている企業もあるくらいですから、
「所属」先にあるものを使わせてもらうのがどれだけ楽なことか、
10年後、独立してから思い知ることに。
「所属」先に雇用されるデメリット
⑴ 研修の多い会社、塾は、それだけ時間拘束が長い。
英語は四技能です。
「書く」「読む」「聞く」「話す」
それぞれに別に研修があったり、
募集時期は強化的な営業研修があったりします。
タイムマネジメントを考えてください。
朝から昼ご飯なしで研修内容をこなして、
2時くらいに研修先から帰宅して、
教室準備(掃除、教材内容確認)をすると、
幼児さんや小学低学年は、クラスレッスンが始まる時刻になります。
そのまま、夕方は高学年、夜は9時過ぎまで、中学生クラス。
実際に経験した一日です。月に何回もあります。
その日は朝ごはん以外、夜のクラスが終わるまで、
トイレ以外は休憩もご飯もなしです。
家族のご飯だけ、早朝から作り置きで、
研修に出かけます。
会社によっては研修時の交通費は、自己負担。
もちろん研修の時給も日当も、ゼロ。
授業料を取らない分、ということだそうです。
「先生がおなか鳴っている」聞いた保護者が心配して、
夕飯のおかずやケーキなどの差し入れを、
レッスン中に下さることもありました。
うーん。なさけない。
要領が悪いと、こうなります。
⑵ 生徒さんや保護者の申し出を断ることができない。
お客様は神様。
今は亡き有名な人のお言葉です。
家庭教師派遣登録の時代は、
「ぼくの/わたしの自慢のオモチャを見せてあげる」(生徒)
「お友達が外で呼んでいる。出かけたい」(生徒)
「ゆっくりジュースでも飲んでいってください」(保護者)
これ、本当に失敗だなと感じました。
一日に2件、3件と家庭訪問する仕事は時間が勝負。
次のクラスに支障が出るほどの時間オーバーは許されません。
先方はゆっくりしていって欲しいと。
実は、複雑な話ですが。
レッスン内容よりそちらが大事なわけではないのです。
「レッスンはお金を支払っている以上、
きっちり時間分こなして欲しい。
でもそれ以上に私たちのもてなしも受けていただきたい」
いつから、専属?
ご家庭のペースに巻き込まれてしまうと、
「英語が身につかなかった」といわれるのは悔しいです。
自宅教室を開校したときに、
勉強に不要なものの持ち込みはご遠慮いただきました。
レッスン中に鉛筆を削る、
スマホを机の下で隠してラインする、
壁や机に落書きをするなど、
「本部」の保証は一切なしという小さいいたずらは多いですよ。
スマホのマナーは徹底しますし、
我が家は老朽化しているので、気にしませんが(笑)
次の順番が控えていらっしゃることを告げても、
3時間、4時間と話し込む保護者さんもいらっしゃいます。
すべてお客様です。
会社が売り上げを要求する限り、
ご機嫌を損ねてはいけないのです。
⑶ 所属先が倒産した場合の対応に苦慮する。
家庭教師派遣の会社が8億も負債を出して突然倒産したのは、
登録の3年後くらいでした。
新聞記事になる数日前、雇用解除の文書が来ました。
何の説明もなく、電話もつながらない状況です。
「その後のレッスンはどうなるのか」
消えた会社に連絡が取れない保護者から、
私たち講師のほうに電話が来ます。
その月の未払い賃金があるのですが、
生徒の気持ちのケアにも奔走しました。
つまり、
数日分は無料でレッスンをしたことになります。
保護者の支払いの相談にも、
何の役にも立たないのですが、
勝手な自己裁量でわかる限り対応しました。
信販会社を通して毎月の分割払いの方は、
契約先が倒産してサービスが受けられないことを、
信販会社に告げると、
その後の支払いをストップできるようです。
問題は、先に全額前払いしている保護者です。
「うちは全額支払っている。先生は来ないのか」
そうなのですが、
講師には給料は支払われていません。
倒産の後、管財人弁護士さんから、
私たち講師の賃金の未払いについては、
まったくメドが立たないことを告げられました。
ほんの千円くらいの補填金に対して、
自己負担で切手を何枚も買って、
書類のやり取りを要求されましたので、
「もう辞退します」とネを上げました。
こういう業界の突然の倒産は、
会社の信用どころか、
生徒にも保護者にも講師にも、
すさまじいダメージが来ると、
思い知らされた経験でした。
Talking第2回は。
「教える仕事」をしてみたい人へ、
「独立開業」することのメリット・デメリット3つ。
他のお仕事にも共通する点もあるかとは思います。
参照。